こ も れ び

高 次 脳 機 能 障 害 と は
主な症状
半側空間無視自分が意識してみている空間の片側(多く人は左側)を見落とす。社会復帰のための援助をしていく上で、一番影響が大きいと言われる。
半側身体失認自分自信の身体像が歪んだり、身体の一部を自分のものでないように思っていたり、麻痺があるのを認められない。
地誌的障害よく知っている場所で道が分からなくなって迷ったり、自宅の見取り図や近所の地図が書けない。
失認症目は見えていても、色・物の形・物の用途や名称が分からない。聴覚や触覚についても同じような症状が見られる。
失語症他の人に意思を伝えたり、他の人が伝えてきたことを理解したりすることが難しくなる。
記憶障害比較的古い記憶は保たれているのに、新しいことを覚えるのが困難。約束したことを忘れたり、日時を間違えたり、場所がわからなくなり目的地へ着くことが出来ずに迷子になることがある。
失行症手足は動かせるのに、意図した操作や指示された動作が行えない。歯を磨こうとして、歯ブラシをどう扱ったら良いのか分からず、歯磨きのチューブを口に持っていく、等。
注意障害ひとつのことに注意を集中したり、多数の中から注意して必要なことを選ぶことが難しくなる。気が散り、疲れやすいため数分しか課題が行えないこともある。
遂行機能障害生活する上で必要な情報を整理・計画・処理していく一連の作業(目標を決め→計画し→手順を考え→実施し→結果を確認する)が難しくなる。その結果、生活上起こる様々な問題を解決していくことが困難になる。
10行動や情緒の障害ちょっとした困難な問題でも著しい不安を示したり、逆に興奮して衝動的になったり、一種のパニックのような状態に陥ることがある。反対に、自発性が低下し自分からは動こうとしない状態を示すこともある。

社会生活の問題
上記のような症状が見られても、軽度の場合は本人や家族がそれを障害だと認識できないことが多々あります。
退院後の家庭生活の中で、以前とは違う行動が目に付き、「何か変」と気づくケースもしばしば見られます。

置き去りにされた障害
このような重い障害が福祉政策から置き去りにされているのはなぜでしょう?
以前ならば救われることのなかった命が医療技術の進歩により救われるようになりました。それ自体は非常に喜ばしいことでありますが、一方では意識も戻り・手足も動き・言葉の不自由もないのに、社会生活や家庭生活が十分にこなせない「高次機能障害者」が増加しています。
残念ながら、現在の日本の福祉制度には現代社会が生み出した新たな病・「高次機能障害」を受け入れる体制が確立されていません。
「身体障害」とも「精神障害」とも異なるこの「置き去りにされた障害」を抱え、家族は24時間患者の損傷された脳の代わりと名って患者を支え続けなければならないのです。

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