こ も れ び

        
脳外傷とは
脳は、生命維持、運動と知覚、学習思考や創作など、人間の様々な活動をつかさどっています。したがって大切な脳は、頑丈な頭蓋骨で守られています。しかし交通事故や転落事故等で頭部に激しい衝撃を受けると、脳組織に損傷が及ぶことがあります。脳組織の損傷状況から、医学的には、びまん性脳軸索損傷、脳挫傷、頭蓋内出血などと診断され、これらを総称して脳外傷といいます。
脳外傷の結果、運動麻痺、失調症、復視、言語障害、記憶障害、意欲障害、性格変化、情緒障害など、さまざまな障害が発生します。その内容や程度はさまざまであり、外見から障害の残っていることが分からない場合も少なくありません。
脳外傷は、決して稀な出来事ではなく、私たちの身近なところで発生し、その後遺症に悩む本人や家族の方たちは大勢いるのです。
脳外傷(児)者をとりまく状況
脳外傷の結果、さまざまな症状が起こることをのべました。それらの後遺症の中でも、社会参加を阻む大きな要因に高次脳機能障害があります。たとえば直前のことも覚えていられない記憶障害、集中力や意欲の障害、周囲の状況に的確に対応できず誤りを修正できない等の問題は、高次機能障害によると考えられます。一方脳外傷後に起きやすい衝動性や情緒不安定性、抑制が利かないこと、あるいは幼児的言動などは、人間関係の維持や社会への適応を阻む要因となります。
このような後遺症の結果、社会参加が困難となった脳外傷(児)者とその家族の人々は社会から孤立し生活への不安を高めるなど共通の悩みを抱えているのではないでしょうか。
現在の障害者福祉制度は、身体障害者福祉法と精神薄弱者福祉法を中心としています。高次機能障害者が主体である脳外傷(児)者へは、どちらの制度を適用することも困難です。そのため一部の脳外傷(児)者は、保障制度や在宅制度、就労を援助する行政的支援事業の対象外となっています。脳外傷(児)者がこのような状況にあるということは、一般社会の人々から正しく理解されていない心細い状況にあります。


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